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FEATURE

APR 22, 2021

Special Interview : cornelian taurus by daisuke iwanaga

SPECIAL
デザイナーの岩永大介氏、エストネーションバイヤー川本純也との対談から紐解くコーネリアンタウラスの魅力とは。



cornelian taurus by daisuke iwanaga
岩永大介
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ESTNATION BUYER
川本純也

ネット環境の充実に伴い容易に情報が得られる昨今。カスタマーのモノに対する評価は年々シビアになりつつある。その中にあって、国内外を問わず支持を得続けているのがコーネリアンタウラスだ。エストネーションとの付き合いも、かれこれ10年を数える。そんな関係値たればこその新たな取り組みが今季よりスタート。その魅力を、デザイナーの岩永大介氏、エストネーションバイヤー川本純也との対談から紐解く。





デザイナー、岩永大介が海外で得た経験と確信

川本純也(以下、川本)
今日はまず、改めてブランドのこと、そして岩永さんのことについて掘り下げたいないと思っています。

岩永大介(以下、岩永)
お手柔らかに(笑)。

川本
ブランド設立から今年で何年目になりますか。

岩永
30歳の時にスタートさせたので今年で丸17年ですかね。

川本
ブランドを立ち上げる前は何を?



岩永
最初に京都のバッグメーカーに就職しました。単純に手を動かすことが好きで、昔から独学で革小物やバッグを作っていたんですよ。そこでは、モノが出来上がるまでの過程すべてを見られる環境でしたから、今考えればスタートとしては大きかったと思います。そこからアパレルメーカーへ転職し、カジュアル部門に在籍しながらいろいろ経験させてもらいました。バイヤーとして海外のショールームにも行かせてもらいましたね。すごくいい経験をさせてもらいましたし、いいモノもたくさん見させていただきました。その後、独立してブランドを設立するに至ります。



川本
私もバイヤーとしていろんな国に行きますが、その中で、高品質なクロコダイルレザーなどを使用しながらグローバルに展開できているバッグブランドはメゾンブランドでもなければそんなに多くはない印象です。ブランドを立ち上げるきっかけみたいなものはあったんですか?



岩永
30歳ぐらいまでに独立したい想いはありましたけど、そこから逆算していけるほど賢くもないし、世の中そんなに甘くない。ただ、海外での経験から勝負するならやっぱり世界に目をむけるべきだなと。そこで、外へ出ていくうえで必要なものは何かと考えたら、もちろん歴史的なこともあるけれど、作りにおける絶対的なオリジナリティ。それはバイヤーをやっていて常に感じていました。

川本
いろんなブランドを見ていて、正直○○っぽいなっていうのは少なからず見かけます。今ってバックボーンのない人でもモノが作れてしまう時代ですよね。ただ、物を選ぶ側として信念をもってモノを作り続けている方へのリスペクトはすごくあります。



川本
正直、いくら売っただとか一過性のトレンドにあまり興味がないんですよね。コーネリアンタウラスさんは○○っぽいというのがない。それって、モノ作りに真剣で、世界観やコンセプトに一本筋が通っているからだと思うんです。



ブランドの根本にあるオリジナリティの源泉とは

岩永
オリジナリティは、生き方に伴う作り手のうち(内側)から出てくるものだと思うんですよ。僕の場合は、生まれ育った神戸という街や家族の存在。それはやっぱり自分にしかないもので、それをプロダクトにどう落とし込むかがベースにあります。それに、バイヤーで得た経験をエッセンスとしてプラスしていますね。

川本
そのエッセンスがあるからこそ海外でも広く受け入れられているのかもしれないですね。



岩永
あとは、日本の文化を落とし込んでいるという点。例えば、ハンドルのデザインは刀の柄からきているんですけどそういったものを常に鞄へ落とし込みながらモノ作りをしています。これってやはり結構な手間で、時間もかかるものなんです。ただ、そこは外せませんね。



川本
その譲れない想いや真摯に向き合う姿勢はジャパンメイドの良さですよね。以前、ヨーロッパでいろんなデザイナーや作り手の方に話を聞く機会があったんです。そこで印象に残ったのは、いまだに日本のモノ作りに対するオマージュが強いということでした。

岩永
僕がブランドを始める前から、やっぱり日本の質の高さは知られていましたよね。ただ、モノ作りとか、ファッション全体というよりはデニムだとかあるカテゴリーに偏っていた部分がありました。



川本
たしかに、僕ら日本人にも「これは岡山のデニムなんだぜ」ってすごいポジティブに語る人が多かったですね。



両者の想いがシンクロし実現したEC版オーダー会

川本
一方で、見方を変えれば海外より国内の方がある意味モノを見る目は厳しいかもしれません。情報をすぐに手にできる時代ですし。ただ、コーネリアンタウラスさんは国内外問わず受け入れられている。例えば、弊社のお客様の中には経営者をはじめ、質の高いモノを常に手にしてこられた方が多い。その方々は横のつながりも広く、クチコミで情報交換をされることも多いみたいなんですよ。そこでコーネリアンタウラスさんが話題に挙がり、それを聞いた方がオーダー会に足を運ばれるケースも散見されます。それは、コマーシャル的にやっているブランドにはないところですよね。



岩永
そういう機会は本当に僕としてもありがたいんですよ。イベントに来てくれる方と話をする機会をもたせてもらってすごい勉強になっています。

川本
今季もオーダー会をやらせていただきますけど、僕が入社する以前からやられていますよね。

岩永
取引を始めた次の年からですから2015年くらいからでしょうか。



川本
さらに今回は、EC上でのオーダー会というまた新しい試みをご一緒させていただくことになりました。私たちとしては、店舗へ気軽に来られないお客様にもウチのアイテムとの接点を設けたいという想いが以前からあったんですね。ただ、一緒にやるのであれば自信をもってお薦めできるブランドさんとやりたい。そこで、岩永さんにご相談させていただいた次第です。


cornelian taurus by daisuke iwanaga CUSTOM ORDER





岩永
コロナ以前、僕らはインターネット販売を禁止にしていました。それは取引先さんにもお願いしていたこと。ただ、コロナを契機にECの見方が変わったというのはあります。そのタイミングでのお話でした。オーダー会は本来会話を重ねて進めていくものですけど、EC上に落とし込んでやるのもひとつのトライかなと。それは、僕らのECではできないシステムをエストネーションさんがやってらっしゃることも大きかったですね。

川本
ありがとうございます。EC上でのカスタムオーダーは、セレクトショップに限っていえばやっているところはほぼないかもしれません。それに、今回のEC版オーダー会は特別感をより感じていただける内容になっていますよね。



岩永
そうですね。通常のオーダー会と比べるとモデルを絞って展開しますが、その代わり、白のホースパラフィンレザーや、ブルー&ボルドーのカウレザーなどwebでしかオーダーできない特別な素材&色を用意しました。ひとつ作ったらもう終わり、そんなレベルの量しかないものもありますしね。それに、ファスナーの色をシルバーとゴールドから、ファスナーテープも茶と黒から選択できるのも、通常のオーダー会ではない部分です。



川本
個人的にはギフトという選択肢もイメージができます。コーネリアンタウラスさんとは初の試みですけど、そういう経験を重ねていくことが今後は我々としても非常に大事だなと思います。

岩永
我々にとっても20年の節目も目前ですし、引き続きモノ作りに真摯に向き合っていきたいとは思いますけど、プラスして新しい取り組みもどんどん行なっていきたいですね。あとは、僕個人でもいろいろと活動していて、そこでの経験もプロダクトに還元していきながらブランドの違った側面を見せていければと思います。

PROFILE

岩永大介
アパレルメーカーで企画運営やバイヤーとして経験を積んだのち、30歳を機に独立。自身が生まれ育った神戸を拠点にバックブランド、コーネリアンタウラスを設立する。プロダクトから透けて見える日本のモノ作りや文化、さらには動物たちの性質、実父がやられていた仕事が背景にある船具から派生したパーツなどなど。あらゆる部分から発せられる唯一無二の存在感は海外のバイヤーの心を掴み、レクレール、ドーバーストリートマーケットなど世界的なセレクトショップからも一目置かれる存在に。

川本純也
エストネーションの銀座店、六本木ヒルズ店でスタッフとしてキャリアを重ね、20代の若さでバイヤーに就任。時代を捉えた審美眼と感覚の鋭さがありながら、伝統や確かなモノ作りへのオマージュも欠かさない。それが、モードからクラシック、ドレス、カジュアルなど幅広いバイイングを可能にしている要因に。

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