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エグゼクティブの愛する仕事服

しなやかに今を生きるアクティブな女性たちは、どんな想いでビジネスウエアを選び、
何を着ているのか――
時代を牽引する4名のエグゼクティブにインタビュー。
第三回目は講談社「THE NIKKEI MAGAZINE Ai」編集長の北原かおるさんにお話を伺った。 

北原かおる

●大学卒業後、出版社勤務を経て講談社に入社し、『ViVi』編集部に配属。2019年より『with』編集長を務め、2022年『FRaU』事業部に異動。2023年に『THE NIKKEI MAGAZINE Ai』編集長に就任。好きなスタイル・アイコンはソフィア・コッポラ。「ベーシックで品のあるスタイルが素敵。ファッションとリンクする知的な佇まいにも憧れます」。『FRaU S.BEAUTY』編集長も兼務している。 

“仕事としてのファッション”と“自分らしさ”。
そのバランスを取りながらの仕事服選び

講談社で数々の女性誌のエディターとしてキャリアを積んできた北原さん。2023年からは日本経済新聞と講談社の共同プロジェクトとして発行する、働く女性のためのハイクオリティ・タブロイドマガジン『THE NIKKEI MAGAZINE Ai』の編集長を務めている。

「媒体のスタイルを体現する“代表”として、読者やクライアントの方々にお目にかかった時に恥ずかしくない装いを意識して仕事服を選んできました。若い世代をターゲットにした女性誌の編集部にいた頃は、トレンドの服を着ていたこともありましたが、歳を重ねるにつれ、“私らしさ”も大事にしたいと思うように。今振り返ると、30代後半から40歳前後は“お洒落迷子”に陥っていた時期だったのかもしれません」。ちょうどその頃、一児の母となり、体形や肌、髪の質感なども少しずつ変化してきたことがお洒落を見直すターニングポイントに。

“この服、本当に私に似合ってる?”と自問自答を繰り返し、好きなものをもう一度見直したことが、自身のスタンダードを確立する糸口になったそう。現在は、黒、白、ベージュ、グレーなどベーシックカラーの普遍的なアイテム……例えばTシャツ、デニム、ベルト、レザーのショートブーツといったものが北原さんのワードローブのベース。昨年、日経新聞を購読するエグゼクティブをメインターゲットにした『THE NIKKEI MAGAZINE Ai』の編集長に就任してからは、自分好みのスタイルを軸にしつつ、Tシャツの上にジャケットを羽織ったり、以前はしていなかった腕時計をしたり、ネイルを整えたりすることで、媒体にふさわしいきちんと感が出るよう心掛けている。「“自分らしさ”と“仕事上の立場を意識した装い”とのバランスがうまくとれるようになったら、お洒落で迷うこともなくなって。今は、自分が自信をもっていられる服が何か、やっとわかった気がしています」。

「ベーシック+ひと匙の甘さ」が40代でたどり着いたマイ・スタイル

北原さんのワードローブを構成しているのは、「マニッシュ8割+甘口2割」。シンプルシックを基本にしつつ、どこかフェミニンな優しさが香るコーディネートが今の定番なのだそう。

「シャープな雰囲気が好みなのですが、そればかりだとちょっと物足りなくて、突然すごく甘い服が着たくなることも(笑)。思い返してみると、若いころからずっと好きなブランドはミュウミュウなんですよね。私のファッションの根底には、“実は甘いテイスト好き”な自分がいるような気がします」。

ふわっとした袖や、柔らかなシルエット、シアーやレースといった素材感……直球ではなくニュアンスで“甘さ”を取り入れるのが北原さん流。「トップスが甘かったらボトムスはキリっとしたパンツとか、透ける素材なら色は黒とか、コーディネートでバランスをとるようにしています。この夏は、“甘い好き”が顔を出していて(笑)、普段はパンツ派なのですが、ストンとしたシルエットのワンピースが着たい気分です」。

ファッションとは、なりたい自分を
表現してくれる「最後の魔法の技」

自分の好きなスタイルが定まってきた半面、お洒落の幅が広がらないのが目下の悩みでもあるという北原さん。そんな時、自分にはない視点を求めて足を運ぶのがエストネーション六本木ヒルズ店。

「店舗がすごく大きいので、一気に色々なものが見れて、旬のブランドやトレンドのアイテム、時代の気分などがわかるのがいいですね。店内を歩いていると、この服素敵だなとか、着てみたい!とか、色々な感情が沸き上がってきて、わくわくしたりときめいたり。私にとっては、たくさんの刺激をもらえる“お洒落好きの大人の宝箱”みたいな場所。自分にジャストなトレンドが見つかるブティックとしても、すごく信頼しています」。

しなやかに進化しながらマイ・スタイルを磨いてきた北原さんにとって、お洒落とは“なりたい自分を見せるための、最後の仕上げ”。「個性を表現するために、最後にプラスできる“魔法の技”がファッションだと思うんです。これからも、自分がどう在りたいかを考えながら、服選びを楽しんでいきたいですね」。

ピンストライプのベストとパンツのセットアップは、リネンをブレンドしたドライな質感で、着心地も涼やか。「このパンツは、穿いた瞬間に“欲しい!”と思ったくらい、シルエットもフィット感もパーフェクト! 白いTシャツにこのベストを羽織るだけで今っぽくなるし、ベストを単品で着ても素敵ですよね。私にとって洋服の質感は何より重要なのですが、エストネーションのオリジナルは肌触りが柔らかく、上質なのも気に入っています」。