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  2. LUXURY OF ESTNATION Issue.5 vol.2

ラグジュアリーの本質を追及し、 品質にこだわったものづくりによるタイムレスでクリーンなスタイルを提案する ESTNATION。ただ、そのラグジュアリーの定義とはいったいなんなのか。「豪華な」、「贅沢な」という意味だけで表現することが果たして本質なのか。フリープランナーの種市暁さんを水先案内人とし、それぞれが思い描くラグジュアリーを探す旅に出ます。

ARCHIVE

ISSUE 1 鷲頭 直樹
ISSUE 2 靍岡秀明
ISSUE 3 佐々木明
ISSUE 4 佐藤大介
ISSUE 5 前編 近藤 昌
LUXURY OF ESTNATION

Issue 5(後編)

近藤 昌

ここで畑やって、
海に入って、
薪ストーブに火をくべて人に戻る

ジャンルレスな分野の第一線を牽引する人々が今思うラグジュアリーについて語り合う連載企画「LUXURY OF ESTNATION」の第5弾は前編後編の2回に分けて、長きに渡ってスタイリストとして活躍する近藤昌氏が登場。前編では近藤氏が携わってきたことから、その経験から得た今感じるラグジュアリーについて、お話ししてもらいました。それでは続きとなる後編もお楽しみください。

PROFILE

近藤 昌

企画制作会社TOOLS代表。80年代から一線で活動を続けているスタイリスト。現在も、日本を代表するトップアスリート、ミュージシャン、アーティスト、俳優のスタイリングを手がけるほか、衣食住に関わる幅広いショッププロデュース、イベント企画やブランディングを行うなど、ジャンルレスに活躍。また、東京と千葉県一宮の二拠点生活を送りながら、週末はコーヒーを淹れるバリスタとしてSTREAMER FIELDPOST(ストリーマーフィールドポスト)を運営している。

LUXURY OF ESTNATION ISSUE 5

INTERVIEW

中身のある人って
服を着ると化学反応を起こして
かっこいいじゃないですか。

種市

近藤さんの東京での第1戦の顔もありながら、このSTREAMER FIELDPOSTもやってるところもまた違った面白さがありますよね。TOOLS BARも復活させたんですよね。

近藤

そう。25年ぶりなんですけど、今不定期でやっているんですが、やると200人ぐらい来ちゃうんですよ。なんかそれもね、ESTNATIONで買った服をどこに着ていくのっていうのも考えているんです。

種市

ああ、そういう場所を作るってことですね。

近藤

そういう場所を作らなきゃ、やっぱり身なりを整えないし、そもそも売れないんじゃないかと思う。ただ、そういうことだけ言ってても人間の価値観っていうのがある。種さんも分かると思うんですけど、やっぱり中身のある人って服を着ると化学反応を起こしてかっこいいじゃないですか。

種市

ちょうど行きの道中でもその話をしてたんですよ。今のトレンドって言い方はあれかもしれないけど、クワイエットラグジュアリーっていう言葉をよく耳にしますよね。

近藤

最近出てきてますね。

種市

そう敬称されるラグジュアリーブランドとかが、最近はすごく売れてるっていう話をしていた。ただそういうブランドの服って、意外とシンプルなんですよね。ただ、服ってやっぱり中身がある人が着ないとって話をなぜか、鷲頭くんが言ってたんです(笑)。

一同

(笑)

種市

じゃあ中身ってどういうことだよってという話でずっと揉めてました(笑)

近藤

結局、オシャレな格好するのもいいんですけど、その中身を作るにはどうしていくかっていう話になりますよね。そこで、薄い感じのオシャレなことばっかり言ってるよりは、海に入ったり、畑を触ったり、何かをやっている人の方がいい。種さんもサーフィンやると思うんですけど、そういう人って人間的に土台ができている。そうすると振り幅がどんどん大きくなって、今まで以上のことが考えられるし、思いやれる。

種市

そうですね。

近藤

だから、そういうことに気づいてもらうためにSTREAMER FIELDPOSTをやっています。コーヒーを出しながら、畑もあって、奥にはピラティスもある。あと、ここの裏にはキックボクシングのジムもあって、乗馬クラブ、海も近いのでサーフィンスクールもやっている。

種市

今気づいたんですけど、ピラティスまであるんですね。

近藤

ここを運営して、きっかけ作りをすることが僕自身の後半戦の仕事なのかなと思っています。

格好だけじゃない、
中身を作る、
そういう成長をしてもらいたい。

種市

素晴らしい。それを目標に2拠点生活を始めたんですか?

近藤

2拠点は家族でやり始めたんですけど、だんだん方向性がそうなっていった。無理なくこういう風になってきたって感じだから、気がつく人は気がついて来てくれる。あと、東京から100km離れているのがいいんですよ。海に入ってる間に頭の中のぐちゃぐちゃしたものが全部流れ出てすごいリフレッシュするじゃないですか。あれを繰り返さないとやっぱり人間ってなかなか成長しない。だから、会議だけやってるよりは朝、海に入ってくるぐらいの方がいいから、このエリアは気に入っていますね。

種市

今回、帯同しているプレスの2人はまだ20代なので、特に聞いてもらいたい話ですね。

近藤

でも、僕も60歳を過ぎてから色々なことに気がついた。だから、そういうことを20代の方に伝えていけば、早く気がつくと思う。

種市

これはESTNATIONのスタッフに聞いてもらった方がいいんじゃない。

鷲頭

全員ですね。

近藤

格好だけじゃない、中身を作るような、そういう成長をしてもらいたいですね。

お店でやっぱり
誠意を込めてものを売って、
買っていただくことが大事

種市

近藤さんすごいっすね。やっぱり話が上手。

近藤

いやいやいや(笑)

種市

誰かに台本書いてもらいました?なんか完璧過ぎて、この連載の最後のゲストとして出るべきだったかも。そのぐらい悟っちゃったな。近藤さんがこの年代で、こういう場所を作ってるっていうのは僕らにとって勇気になる。まだまだ楽しんでいろんなことに挑戦できるんだなっていうね。すごくいいなって思いました。そう言えば話は全然変わるんですけど、芸能界にもいらっしゃったんですよね。

近藤

多くは語れないですが、そうですね。子役からアイドル的なこともやってました。それが50年以上前ですから、12歳から18歳ぐらいまで。その後がいきなりアメ横ですからね。

種市

本当に全部の経歴がすごいですよ。

近藤

スタイリストっていうのも松任谷さんが由実さんと結婚して、こういうことをやっていくからってので頼まれたのが1番最初。ただ、松任谷さんにその話を言うとそうだっけみたいな返事をされますよ(笑)

種市

でも、その松任谷さんが書かれてる記事を読ませていただいた時に、近藤さんにブランドとか全てを教わったっていうのを見ましたよ。今や僕らの時代だとネットが普及し、便利になったから、悔しいっていうのはあれかもしれないですけど、すごい時代だったな。

近藤

そのネット云々っていうのを作ったし、それはそれでいいんですけど、これからはやっぱりコミュニケーションっていうか、お店でやっぱり誠意を込めてものを売って、買っていただくことが大事。

種市

戻るわけですね。ネットがない時代に販売員やスタイリストをやって、クラブを作って、時代の流れとともにファッションオンラインストアのZOZOTOWNに携わって、渡り歩いているところが面白い。その経歴を経て現在もスタイリストとして第一線で活躍しつつ、ここで畑やって、海に入って、薪ストーブに火をくべて人に戻る。いやぁすごいな。

近藤

何もすごくないですよ。

種市

もう話がばっちり完璧。これも聞いておこうみたいなことがないぐらいない。

鷲頭

この連載が終わっちゃうじゃないですか(笑)

種市

いやいや、この連載はまだまだ続くよ。実はゲストの最初のターンは男性に出てもらって、ある程度したら次は女性を呼ぼうと想定していた。そういう意味では近藤さんに第1章じゃないけど、キレイに締めてもらってよかったです。ちなみにスタイリスト以外にも今もブランドの手伝いもしているんですよね?

近藤

やっていますね。

種市

そういうこともやりながら、西麻布でTOOLS BARをやりつつ、週末はSTREAMER FIELDPOSTと釣ヶ崎海岸でもコーヒーをやっているって、活動の幅が広い。

近藤

釣ヶ崎は東京オリンピックの会場としても使われたようにサーフィンの聖地となっています。そこにあるステラ釣ヶ崎というマルシェみたいな感じで、産直のものが買える場所でもコーヒーを出していますね。

近藤さんの今後の目標は先ほどもおっしゃっていた若者に伝えることでしょうか?

近藤

そうですね。知ってもらいたいですね。その感覚というか大事さというか、人間らしいというか。あと、ここの建物もお金をかけてないんですよ。自分達の手でやっているので、かっこいいってことじゃなくて、かっこわるい中のよさみたいなことも。

種市

僕から見るとかっこいいですけどね。ただ、おっしゃってること僕もある意味でのいなたさじゃないですけど、人間らしさとか匂いがあるもののよさってありますよね。それが中身だと思うんですけど。ただ、お金かけてオシャレなもの持ってくればいいんじゃない。やっぱり表層的なことはバレてしまうからこそ、根を張るっていう意味がそういうこと なのかなっていうのはわかります。

近藤

だから、よく「近藤さん前乗りですよ」言われます(笑)

一同

(笑)

Column

ここでは自身が思う“今”のラグジュアリーにまつわるものを紹介してもらいます。果たして、そのものにはどういった思い入れがあり、どのようにラグジュアリーを表現するのか。そんな逸品たちをお楽しみください。

TOOLSカスタムサーフボード

ロングは長いし、ショートだと難しいから、この8サイズに乗れるようになるとサーフィンが楽しくなると思って作ったサーフボードです。最新のフィッシュテールデザインになっていて、幅もあり、浮力もしっかりあるので、このボードで海の上を滑ることができたら新しいあなたの人生の扉が開くと思います。それに合わせて、実は海パンも作っていて、そこに鍵が付いていて、扉を開けるっていう意味を持たせてるんです。実際に鍵はワックス剥がしとしても使えるんですけど、サーフィンにハマるきっかけになってくれたら嬉しいですね。

Streamer Fieldpost

千葉県一宮町の住宅街の中に突如現れるStreamer Fieldpost。STREAMER COFFEE COMPANYで使用されているエスプレッソマシーンとコーヒー豆を挽くグラインダーを使用し、近藤氏がバリスタとしてドリップコーヒーやエスプレッソ、ラテなど1杯1杯丁寧に提供してくれます。また隣接されたショップにはオリジナルブランドTOOLSのアイテムも販売。ウェアや帽子、バッグ類などのファッションアイテムに加え、ドッグリードなど愛犬に使用できるアイテムも展開している。

〒299-4301 千葉県長生郡一宮町一宮2254番地
営業 土曜日-日曜日のみ 8:00〜15:00

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ISSUE 1 鷲頭 直樹
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ISSUE 3 佐々木明
ISSUE 4 佐藤大介
ISSUE 5 前編 近藤 昌
ESTNATION Men's Director

NAOKI WASHIZU

Planner

AKIRA TANEICHI

Photographer

YUMA YOSHITSUGU

Writer

KEI MATSUO (TEENY RANCH)

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